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「杜子春」~「感想」「あらすじ」「解説」:芥川龍之介 

読書
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はじめに

今回は芥川龍之介が書いた「杜子春」について、あらすじ、感想、そして私なりに解説をしていきたいと思います。

今回ご紹介する「杜子春」という作品は、難しい文章や、回りくどい文章を用いず、真っ直ぐ人間にとって一番大事なものは何かという事を教えてくれる作品です。

それでいて教訓じみたものではないので非常に読みやすいと思いますのでぜひ手に取って読んでみてください

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杜子春のポイントテーマ・魅力
芋粥
芋粥

・人間にとって大事な物

・家族愛

・お金

「杜子春」はこんな人におすすめ

・最近親と会っていない人

・何を大切にして生きていくべきか悩んでいる人

あらすじ

杜子春はその日寝泊りする場所さえ困る生活をしていました。

そこに仙人が杜子春の前に現れ黄金が埋まっている場所を伝えると、杜子春は、次の日から国で一番の大金持ちになり遊んで暮らしましたが、3年もするとそのお金も無くなり杜子はまた同じようにその日寝泊りする場所さえ困る生活に戻ってしまいました。

すると杜子春の前に再仙人が現れ再び同じよう黄金が埋まっている場所を杜子春に伝えると、杜子春は再びお金持ちになりまた遊んで暮らし、そして3年後また一文なしになりました。

するとまた仙人が杜子春の前に現れ黄金が埋まっている場所を杜子春に伝えようとすると、杜子春はもうお金はもういらないので自分をあなたの弟子にしてくれと頼むので、仙人は峨眉山という所へ杜子春を連れていき、ここから色々な事が起こるが決して声を出すな、と命じ杜子春の前から姿を消しました。

杜子春の前に色々な事が起こりましたが杜子春は声を出さずこらえていました。しかし、死んだ自分の父母が痩せ馬になっており鞭でうたれているのをみて杜子春はついに「お母さん。」と一声を叫んでしまいました。

仙人の弟子になることが出来なかった杜子春はその後仙人から一軒の家と畑をもらうと人間らしく正直に暮らしました。

人生においてのお金

杜子春はもともと裕福な家庭に生まれましたが、親の財産もなくなりその日暮らしをしている所に仙人が現れお金持ちになります。私は杜子春ほどお金と人間の怖さを知っている人はいないのではないかと思います。

杜子春はお金持ちになると、毎日豪華な酒盛りを開きます。すると今まで杜子春に興味を示さなかった人間達が毎日杜子春の家に遊びにきます。しかし、杜子春のお金がつきると、杜子春を助けることはおろか、ぱったりと杜子春の家にだれも来なくなります。

そのため仙人が3度現れ杜子春を再びお金持ちにしようとすると、杜子春はそれを断り人間に愛想が尽きたので、お金はいらないので弟子にしてくださいと仙人に頼むのです。

勿論、人生においてお金は絶対に必要ですし、杜子春の使い方が非常に無計画であまりにも粗雑であるのもありますが、この物語を読むとお金とそれについて回る薄情な人間の怖さが分かるかと思います

人生において大切すべきもの

仙人の弟子になるべく杜子春は命令のもと一切声を出さずにこらえます。

しかし突如現れた峨眉山を住処にしている神将に、何故ここにいるのか問い詰められましたが、仙人との約束があるので返答をしないでいると、その神将に殺されてしまいます。死後の世界で閻魔大王の前でも押し黙っている杜子春に閻魔大王は怒り、痩せ馬に生まれ変わっている杜子春の父母をつれてきて鞭でぶちます。鞭で打たれながら瀕死にちかい母親がかぼそい声で

「心配をおしでない。私たちはどうなつても、お前さへ仕合せになれるのなら、それより結構なことはないのだからね。大王が何と仰おつしやつても、言ひたくないことは黙つて御出おいで。」

その声を聞いたとき、ずっと固く目をつぶっていた杜子春は目を開け「お母さん」と叫んでしまうのです。

自分がお金持ちであるとき自分の周りに集まって来た人間は自分の欲でしか杜子春の事を考えていませんでしたが、その一方で母親は自分がどんなに苦しくても息子の杜子春を思いやるその母親の気持ちに、杜子春は叫ばずにはいられなかったのです。

弟子になれなかった杜子春は仙人に、父母が鞭で打たれているのを黙っている訳にいきませんし、むしろ仙人になれなかったことを嬉しい。と答えます。そして仙人は急に厳かな顔をしてあのとき杜子春が黙っていたら殺していたと答えます。

ここの問答ですが杜子春という作品で人間がお金ではなく生きる上で何を本当に大切にすべきかを表現しているとても美しい場面だと思います。

人生において本当に何を大切にするべきなのかを学んだ杜子春はこれから「人間らしい、正直な暮しをするつもりです」と答えるのです。

最後に

今回芥川龍之介の「杜子春」のあらすじ、感想、解説をしてみました。

この杜子春は数ある芥川龍之介作品の中でも好きな作品の1つです。

読み返す度に誰しもが自分を1番大切に考えてくれる人を思い起こすのではないでしょうか。

杜子春は仙人のお陰で人間の怖さを知る一方で、逆に人間の美しさも学ぶことが出来たのではないでしょうか。

是非この美しい作品を1度読んで人生において何が一番大切にすべきなのかを考えてみてください

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