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「情事の終わり」~「感想」「あらすじ」「解説」:グレアム・グリーン

読書
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はじめに

今回はグレアムグリーンの書いた、情事の終わりについて、あらすじ、感想、そして私なりに解説をしていきたいと思います。

あらすじを調べると、ドロドロした不倫小説かと思い、読むのを後回しにしていましたが読んでみると内容がとても深く、愛というテーマから、愛する者への人間心理、そして神の存在まで焦点を当てられた作品です。

個人的な感想ですが、夏目漱石のこころのような、三角関係を描きながら、神が存在するかどうかを描いたカラマーゾフの兄弟の要素もあり、純文学が好きな方にはオススメな作品です

まだ読んで無い方は是非手にとって読んでみて下さい

情事の終わりのテーマ

「情事のおわり」のテーマ、魅力、キーワード
芋粥
芋粥

宗教

憎しみ

情事の終わりはこんな人におすすめ

純文学が好き人

海外文学が好きな人

あらすじ

ベントリクスはヘンリから最近妻のサラァの様子がおかしいと相談を受ける。

ベントリクスは2年前ヘンリの妻であるサラァと不倫関係にあったが2年前突如としてサラァがヘンリの前から姿を消し、関係が終わってしまった事から、自分の前から姿を消したのは別の男が出来たのが原因ではないかと、嫉妬の気持ちが芽生えヘンリの代わりに探偵事務所へ行きサラァの動向を探る。

探偵の調査からサラァの日記が手に入り読んでみると自分の前から姿を消した理由は、愛が無くなったのではなく、神との約束の為だったと言うことが分かり、ベントリクスはサラァと一緒になる事を決意したがサラァに断われ、サラァは重い病に倒れ亡くなってしまう。

愛と憎しみと神

情事の終わりはベントリクス(作者)視点で物語が進んでいきます。

物語序盤はベントリクスがサラァの動向を調査する所から始まり、調査をしながらベントリクスは謎の第三者の男と夫であるヘンリに憎しみの情が沸き、サラァを手に入れようと再びサラァと不倫関係となります。

作品中にベントリクスが何回も

「これは憎しみの物語」という言葉が出てくる通り、ベントリクスはサラァを愛するが故に第三者の男とヘンリに嫉妬しサラァを憎みます。むしろ、第三者の男とヘンリがいるからこそサラァへの愛が強くなっていったのかもしれません。

物語中盤では物語序盤から謎の存在であった第三者の男の情報が明らかになるのに加え、探偵からサラァの日記を入手し、そこからサラァが、何故第三者の男のもとに通っていたのか、何故自分のもとを一度離れ、何事も無かったかのように自分の前にもう一度戻ってきたのかが明らかになります。

中盤から謎のままだった存在が明らかになりここから物語が一気に展開していきます。

そして終盤サラァが突如病により亡くなるとベントリクスの周りに奇跡と思われる出来事が立て続けに起きます。

ベントリクスは神を信じておらず、存在を疑っている立場ですが目の前で発生する奇跡を目の当たりにし、サラァを神に取られたこと、神は存在する事を信じるようになります

登場人物の神への認識

サラァはもともと神を信じておらず、ベントリクスと夜一緒にいる時に空爆にあいベントリクスが死んだと思った時に、サラァは神にベントリクスにもう会えなくなってもいい代わりに彼を生き返らせてくれと神に祈ります。

サラァが祈っていると負傷したベントリクスがサラァの前に現れたのを見たサラァは、もうベントリクスと人生を共にすることは出来ない事を悟ります。

その後神との約束を守る為にサラァはベントリクスの前から姿を消しますが、ベントリクスを忘れられず、神の存在を否定したい為に無神論者として活動しているスマイスに何故神の存在を否定するのかを尋ねます。

しかしサラァの中で神の存在を否定すればするほど、益々神の存在が明確化していきサラァは神の存在を認めるようになります。

ベントリクスは神の存在を否定し、サラァがカトリックではないと否定し続けますが、サラァが亡くなった後に、探偵の子供の体調が奇跡的に回復したことや、生まれた時から顔に理不尽なほどの痣があるがために神の存在を否定していたスマイスの痣が、サラァが接吻をしたことで痣が無くなったことを受け徐々に神の存在を認め始め、最終的に神の存在を認めます

サラァとベントリクス

情事の終わりの最後の場面でベントリクスはサラァの日記を読み、サラァの自分への気持ちを理解し、サラァと一緒に生きることを決意しますが、サラァから断れてしまいます。

作中ではサラァの近くにベントリクス、ヘンリ、スマイスの三人の男登場し、ベントリクスは自分以外の男に常に嫉妬し憎しみを抱き、サラァと衝突します。

サラァが淫奔な人物であるように思えますが、そうではなくサラァは神を理解することで誰か1人を強く愛するのではなく、この世に生を受けた全員を愛したかったのではないかと感じました。

情事の終わりの物語序盤では二人の衝突は男女の考え方の違いから発生するものだと思っていましたが、後半になるにつれ二人の衝突は男女の違いではなく、サラァが神を信じだ結果生じるものではないかと思うようになりました。

ベントリクスは愛する女性を他の男ではなく、神に奪われてしまったのです

この作品は男女、その人が持っている宗教観でも抱く感想がそれぞれ違うように思います。

最後に

今回は私なりに情事の終わりについて、あらすじ、感想、そして私なりに解説をしてみました

愛と憎しみと神をテーマにしたこの本は海外文学好きに是非読んでほしい作品ですし、読み返す度に新しい発見がある作品だと思いました。

神や宗教は日本人には馴染が薄く読んでいて難解な部分もあるかとは思いますが、だからこそベントリクスに共感出来る所もあるかと思います。

是非手にとって読んでみて下さい。

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