はじめに
今回は梨木香歩が書いた西の魔女が死んだ、について私なりに、あらすじ、感想、解説をしていきたいと思います。
この作品は不登校になってしまった中学生のまいが、祖母の家に預けられ、祖母と一緒に生活をしていくうちに、まいが人間的に成長していく様子を描いた作品です。
タイトルからは想像出来ませんでしたが、祖母とまいの温かい生活は読んでいてとても癒されますし、忙しい現代社会の中で私達が忘れてしまったものが描かれていると思います。
是非手にとって読んでみて下さい。
西の魔女が死んだのポイントテーマ・魅力
・人間関係
・魔女
・成長
西の魔女が死んだは こんな人にオススメ
・最近人間関係に疲れている人
・最近人生に疲れている人
あらすじ
中学生になったまいは教室内の人間関係に疲れ不登校になり祖母の家に預けられる。
祖母の暖かい愛情と豊かな自然に触れ合いながら、まいは徐々に今までの自身の生活や考え方をみなおしはじめる。
また祖母から魔女になるための特訓として
規則正しい生活と、意思を強くたもつ重要さを教えられる。
その後まいは転校する事となり祖母のもとを離れ再び両親と一緒に住むことになったが、2年後、祖母が急死する。
悲しみと後悔のなか祖母の家についたときにまいはガラス窓にかかれたある文字を見つける。
世界観の美しさ
この本の最大の魅力は
祖母の家に溢れている自然の美しさと祖母の温かい愛情だと思います。
祖母の畑で育てられている様々な野菜達と庭で咲き誇っている多くの花達。
梨木香歩の描写が非常にみずみずしくカラフルな情景が浮かび上がり、そして時間が静かに流れている感じがして、とても魅力的な世界観だと思います。
そしてそんな素敵な空間で祖母の温かい愛情を注がれるまい。
流れが早く人間関係も複雑な社会から離れる事でまいは今までの自分自身を見つめなおし始めます。
まいの成長
祖母との生活でまいは自分自身を見つめなおすなかで、今まで誰にも話したことがなかった、自身が不登校になってしまった理由を、祖母に説明します。
祖母はその話しを聞いて具体的なアドバイスをするのではなく、まい自身に考えさせたうえでアドバイスをします。
人間(魔女修行)にとって自分の意思を強く持ち自分自身で考える事の重要性をまいに教えています。
まいは祖母の教えを受けながら、今まで習慣になっていた夜明かしをやめ、起床時間を固定し、自分が決めたら最後までやり抜くようになり、単身赴任中の父親が祖母の家を訪れた時に驚くくらい成長をとげます。
まいとの接し方
この本では子供に対しての接し方が祖母とまいの両親で対象的に描かれているのも重要なポイントだと思います。
母親とまいは仲が悪いわけではありませんが、まいが母親に何故自分が学校にいかないのかを話している場面はありませんし、母親もまいから聞き出す会話もありません。
まいの父親も単身赴任のなかで母親からまいの様子を電話で聞くのみです。
物語の冒頭では母親が単身赴任中の夫にまいのことを
「扱いにくい子」という言葉を夫にこぼしています。
母親自身も働きながらまいと面と向かって触れ合う時間も少ないはずです。
単身赴任の父親と働いている母親。
まいが扱いにくい子、というのではなく
両親がまいと触れ合う時間が少ない為にまいの事を知らないために「扱いにくい子」という誤った認識をしてしまっているように思います。
まいは学校ではクラスメイトと馴染めず、家では1人。
誰かと一緒という居場所というのが少なかったかもしれません。
一方で祖母の家に行くと常に隣には祖母がおり、祖母とまいは2人でゆったりとした濃ゆい時間を共に過ごします。
母親はまいの事を扱いにくい子と言っていましたが、祖母はまいと一緒に暮らせる事を強い喜びだとまいの母親に伝えます。
現代社会では単身赴任や共働きという家庭環境が増えており、昔のように親子が一緒に過ごす時間というのは昔に比べ薄くなってきていると思います。
西の魔女が死んだを読むと、改めて子供との接する時間の重要性を教えてくれるように思います。
また、西の魔女が死んだでは
両親と祖母の違いをまいとの接し方だけではなく、死生観や仕事、についても述べているシーンがあり祖母と母親が生き方や価値観について話している際に、
祖母が自身の生き方について寂しそうに
「確かにもうオールドファッションかもしれませんね」と呟くシーンがあります。
時代の流れにより価値観が変化していきますが、重要なのは変化していくなかで自分がどのように生きていくのかを自分自身で決める事だと思います。
最後に
今回は梨木香歩が書いた西の魔女が死んだ、について私なりに、あらすじ、感想、解説をしてみました
タイトルをみて魔法使いが出てくるファンタジーのお話かと思ってましたが、良い意味で騙されました。
美しい世界観と祖母の温かい愛情がえがかれており、
忙しい現代に私達が忘れてしまっているものが表現された作品だと思います。
是非手にとって読んでみて下さい
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