「竜」~嘘が現実に起きる不思議なお話:芥川龍之介 「感想」「あらすじ」「解説」

読書

はじめに

今回は芥川龍之介が書いた「竜」について、あらすじ、感想、そして私なりに解説をしていきたいと思います。

今回ご紹介する「竜」という作品はあるお坊さんがほんのイタズラ心から嘘をつきその嘘がきっかけで世間を巻き込む大事になり、そして実際にその嘘が現実世界で起きてしまう、という不思議なお話です。

ページ数も短く内容も非常に読みやすい作品なので読書好きは勿論、普段あまり本を読まない方にもおすすめできる作品です。

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竜のポイントテーマ・魅力
芋粥
芋粥

・運命

「竜」はこんな人におすすめ

・芥川龍之介作品をこれから読もうとしている人
・これから読書を始めようとしている人

あらすじ

恵印という鼻の大きいお坊さんが自分の鼻の事を周りの人間が、笑いものしてくるので、逆に笑いものにしてやろうと考え寺の小池に

「3月3日この池から竜が昇るだろう」となんの根拠もない嘘の立札を立てた。

普段自分の事を馬鹿にしている連中がこの立札を見ては念仏を唱え、神妙な顔をする者を陰で見て恵印は笑っていたが、池から竜が出てくるという噂が広がるにつれて、竜が夢枕にたって人語を放ったという夢をみるもの、実際に池で竜をみたという者も出てき始め、最初は恵印も笑っていたが今更自分がついた嘘だと公表できなくなるほど大事になり始め、3月3日を迎える頃には、竜を一目見ようと遠方より多くの人間が池に訪れた。

この時になると恵印は自分がついた嘘にも関わらず、本当に竜が昇りそうな気がしながら人込みをみていた。当日は快晴のなか多くの人が竜の昇るのを待ち構えていたが、突然雲行きが怪しくなり非常強い雨と雷が鳴り始め、池から金色の爪を持った何者かが空に昇っていくのがみえ、多くの見物客は恐れ逃げ回った。その後恵印はあの立札は自分が立てた悪戯だと白状したが誰も信じる者はなかった。

運命

この不思議な話を読むと

ただ単に、あるお坊さんのついた嘘が現実になった、という単純なお話ではないような気がします。なぜお坊さんの嘘が現実におきたのかもう少し深く考えてみると

① お坊さんのついた嘘を多くの人達が信じた結果現実になった
② お坊さんは竜に操られこのような立札をたてた

① についてはあまりにも皆が竜の昇る事を信じた結果現実になったという考えです。少々オカルトチックですが、日常生活のなかでも信じた結果奇跡のようなことが起きることは多くはないですが稀にあります。スポーツ大会で弱小チームが周りの応援や気持ちにより強豪チームを打ち負かすというのはよく聞きます。人間の“信じる”という行為は科学的に証明できない奇跡を起こす力があり結果的に今回竜を出現させた、という考え方

② については、最初お坊さんは笑いものになっているのに腹が立ち、逆に笑いものにしてやろうという、気持ちから立札をたてますがそれが現実世界に起きてしまいます。
そう考えるとお坊さんは自ら行動して立札をたてたと思っていますが、実際は竜が自ら昇る瞬間を人間達にみさせるためにお坊さんを操り、人を集めたという考え方です。
古来より神が1人の人間を操り主張を代弁させるというのはあります。

そう考えるとお坊さんは自ら行動して立札をたてたと思っていますが、実際は竜が自ら昇る瞬間を人間達にみさせるためにお坊さんを操り、人を集めたという考え方です。

古来より神が1人の人間を操り主張を代弁させるというのはあります。

どちらもオカルトチックな考え方ですが、どちらにせよ竜が池から飛び出してきたのも、お坊さんが嘘をついたのも運命なようなきがします。

私達が人生で1度は嘘をついたこがあるのと同じように、人生で1度は何故このような事が起こったのか合理的、科学的に証明できない運命と呼ぶしかできない出来事が存在します。

最後に

今回芥川龍之介の「竜を」のあらすじ、感想、解説をしてみました。

竜という不思議な短い短編小説ですが読むと、何故竜が実際に池から昇ったのかを考えずにはいられません。

あくまで私の考えですが芥川龍之介はこの作品で運命を表現したかったのではないでしょうか。

是非この不思議な作品を1度読んでなぜ竜が現実に出現したのかを考えてみてください

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