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「野呂松人形」〜[感想][あらすじ][解説]:芥川龍之介 

読書

はじめに

今回は芥川龍之介の「野呂松人形」について私🍏なりに、あらすじ、感想、そして解説をしていきたいと思います。

短い作品ではありますが、芥川の芸術観と芸術家としての熱い思いが描かれています

そしてなにより芥川の人間性が色濃く出ている作品だと思いますので、芥川を初めて読む人にもオススメです

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野呂松人形のテーマ

芋粥
芋粥

芥川の芸術観
時代の流れと芸術

「野呂松人形」はこんな人におすすめ

・古い文化が好きな人
・時代の流れについて考えたい人

あらすじ

ある日、芥川は友人の知人から野呂松人形の人形劇に招待される。

野呂松人形への知識も、興味もない芥川だが断る理由もないので参加する。

会場つくと衰退の一途をたどっている旧式の人形劇を眺めながら芥川は時代と場所に制限を受けない美は存在するのかと考える

芥川の芸術観

芥川は会場で興味のない旧式の人形劇を眺めながら、フランスの作家アナトオルの一節を思い出します

「時代と場所との制限を離れた美は、どこにもない。自分が、ある芸術の作品を悦ぶのは、その作品の生活に対する関係を、自分が発見した時に限るのである。Hissarlik の素焼の陶器は自分をして、よりイリアッドを愛せしめる。十三世紀におけるフィレンツェの生活を知らなかったとしたら、自分は神曲を、今日こんにちの如く鑑賞する事は出来なかったのに相違ない。自分は云う、あらゆる芸術の作品は、その製作の場所と時代とを知って、始めて、正当に愛し、かつ、理解し得られるのである。……」

この一節を思い出した芥川は自身の芸術作品も、この野呂松人形の様に時代と場所の制限を受け同じようになる時がくるのではないかと考え、物語の最後にこういう文章を残しています。

「僕たちは、時代と場所との制限をうけない美があると信じたがっている。僕たちのためにも、僕たちの尊敬する芸術家のためにも、そう信じて疑いたくないと思っている。しかし、それが、果して、そうありたいばかりでなく、そうある事であろうか。……」

この文章に芥川の人間性と芸術家としての熱い思いが込められており、そしてなにより芥川を近い存在として感じる事ができます。

私🍏はじめてこの文章を読んだとき、あの芥川でさえ、時代に淘汰されることを考えたのかと驚いたと共に、彼の素朴さ、人間臭さに非常に好感を抱きました。

時代の流れ

いつの時代であれ流行り廃りは存在します

昭和に流行った音楽、服装はその時代の空気感を理解したうえで美しさを理解できますが、当時の文化を知らない若い人がその美を理解するのは難しいです。

この作品では旧時代の美として江戸時代の人形劇が出てきますが、今の時代であれば10年経つと古い芸術になってしまうかもしれません。

芥川は大正の時代に時代の流れについて想いを馳せていますが、時代の流れが早い現代だからこそ、この本を読み一度歩みをとめて考えるのも良いのではないのでしょうか

最後に

今回「野呂松人形」について私🍏なりに、あらすじ、感想、そして解説をしてみました。

私🍏は芥川作品が大好きですが、客観的にみて芥川の作品が時代と場所の制限を全く受けていないとは言えないです。

作品としての価値が落ちているとは思いませんが今の時代、隣をみたら夢のような娯楽が転がっている現代なら、わざわざ大正に書かれた文学作品の美しさを理解しようと思う人は少ないかもしれません。

しかし、だからこそ私🍏は今のこの現代で芥川の作品に出会えたことを嬉しく思いますし、時代がたってもなお、読まれ続けている芥川作品のパワーを感じます。

時代と場所との制限をうけない美があると信じたがっていた芥川ですが、私🍏も彼同様にあると信じたいですし、こうしてブログを通して一人でも多くの方に芥川作品の魅力をお届けすることが出来たら嬉しいです。

芥川作品は基本短編作品なので、気軽に読めるものが多いのでぜひ手に取ってみてください。

野呂松人形を眺めながら自身の芸術作品の行く末を憂う構図はしっとりと惹かれるものがあります

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コメント

  1. K より:

    誤字が多すぎます。
    ・この野呂松人形の用に→様に
    ・物語の最期に→最後に
    ・そしてなより→そしてなにより
    など。

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