「“悩まなくていい人生”は本当に幸せか?|『すばらしい新世界』に学ぶ、自由と安定の怖さ【あらすじ・感想・解説】」

世界文学

はじめに

「不安もストレスもない人生」と聞くと、あなたは理想的だと思いますか?

嫌な仕事もない。
孤独もない。
失恋もない。
将来への不安もない。

気分が落ち込めば、薬を飲めばいい。

——そんな世界を、人類は本当に“幸福”と呼べるのでしょうか。

今回ご紹介するのは、オルダス・ハクスリーのディストピア小説『すばらしい新世界』です。

1932年に書かれた作品ですが、
驚くべきことに、この小説で描かれる社会は、現代のSNS社会や快楽消費社会を不気味なほど先取りしています。

この作品が恐ろしいのは、
暴力による支配ではなく、

「快適さによって、人類が自由を手放していく」

という点です。

そんなすばらしい新世界について私🍏なりに、あらすじ、感想、そして解説をしていきたいと思います。

現在の私達の価値観でいうと驚かされる内容ですが、100年前の人類の文化・風習も今の私達から見ると驚かされる物が多くあるので、私達が進む未来として起こり得る未来を描いているのかもしれません。

驚かされる1冊ですが読めば進化・文明とは何かを考えさせられる1冊だと思います。

是非手にとって読んでみてください

すばらしい新世界のポイントテーマ・魅力
芋粥
芋粥

・文明・文化

安定性

・自由

・近未来

「すばらしい新世界」はこんな人におすすめ

・ディストピア小説に興味がある人

あらすじ

2540年、人類は安定的発展のため世界政府によって管理されていた。人類は長い歴史の間に安定性こそ最も重要視するべきだと考え、そのために科学技術による人間の生産と階級制度、ソーマーという麻薬の生産、また幼児の頃から睡眠学習を行うことで管理体制にとって都合の良い人間の生産をおこなっていた。この管理体制の中で人類は悩みや不安、ストレスを感じない世界で快楽に溺れて過ごしていたが、そんな管理体制の中で何かがおかしいと三人の男が疑問に持ち始める。

安定性とは

私達は生きていると誰しもが何かしらの不安やストレス、悩みを抱えます。その辛さや苦難に耐えきれず自ら命を落とす人もいます。

このすばらしい新世界では自殺というのは存在しません。人々は管理体制の中でストレスや不安を感じないような環境に置かれ、それでも気分が塞ぎ込めばソーターという薬を飲み快楽に溺れます。人々は管理体制の中で病気にもならず、精神的不安も感じない、なに不自由なく楽しく過ごしています。これこそが人類にとっての安定的発展であり、文明だと世界政府は主張しています。

作品のなかでこのような体制に疑問を持つ人間が出てきますが、その中でも蛮人保存地区のジョンと世界統制管のムスタファモンドのやり取りはとてもメッセージ性がありこの作品の名場面です。

安定性を重視する代わりに芸術、科学、宗教といった自由を市民から奪うムスタファモンド。蛮人地区で過してきたジョンにとってそれは異様な文明でした。

彼はムスタファモンドに

「あなたがたには苦労をともなうのが必要ですよ」

「ここでは全ての代価が安すぎます」

「僕は不都合が好きなんだ」

「僕は不幸になる権利を要求しているんです」

と言います。

このセリフが衝撃的ですよね。

人類誕生から私達は出来るだけ楽に生活するために様々なものを生み出してきましたが、ジョンは自由を求めるためなら不都合を求めるのです。

何一つ不安やストレスを感じない代わりに管理体制で生きるほうがいいか、多少の困難苦難を受け入れる代わりに自由に生きるほうがいいのか。

進化の結果手にするべきはどちらなのでしょうか。

みなさんはどちらの世界を望みますか

今の時代だからこそ読むべき作品

この作品に出てくる教育内容や文化、風習は衝撃的な内容ですが、価値観というのも時代の流れで大きく変化してくので、今の時代の当たり前は未来にとっては違和感でしかありません。

作中ではソーマー、という薬を飲むと急に楽しくなる気分になれる麻薬のような物が出てきますが、現代でも大麻合法化に動く国も出てきました。

医療目的という要素が多いようですが、以前より入手しやすくなっている事は間違いないでしょう。また今後、身体に影響の少ない快楽薬が出てきた時私達はその薬とどのように付き合っていくのでしょうか。

身近な例をだすと現代人はスマホ依存となりSNS、ショート動画、即時快楽、AI、と着々と作中の世界に進んでいると思います。考える前に、「気を紛らわせるもの」が手に入ってしまう時代です。

それは便利な進化かもしれません。

しかし『すばらしい新世界』は、その延長線上にある未来を描いているようにも見えます。

この作品は1932年に書かれましたが、決して今読んでも見当外れな未来を予想しておらず、むしろ今の私達が読んで今後どのように進んで行くべきなのかを考えさせてくれる時間をくれるような気がします。

最後に

今回はオルダス・ハクスリーのすばらしい新世界について私🍏なりに、あらすじ、感想、そして解説をしてみました。

私🍏はこの本を読みジョンの望む世界とムスタファモンドが望む世界を比べて自分はどの世界を望むのか迷ってしまいました。

ムスタファモンドの管理体制の世界は怖いですが、そこでの生活は今の世界より過ごしやすいのは間違いないでしょう。誰もがジョンのように強くはいきれません。

人類はどのように進化していくべきなのか考えさせられる1冊です

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