はじめに。
今回は芥川龍之介の羅生門について私🍏なりに、あらすじ、感想、そして伝えたい事を解説をしていきたいと思います。
国語の教科書にも載っている作品で、誰もが1度は読んだ事のある作品だと思います。
今回はそんな誰しもが1度は読んだ事がある羅生門について私 なりに書いていきたいと思います。
芥川龍之介の「羅生門」を教室ではなく自室で、制服ではなくパジャマで、リラックスして改めて手に取って最初から読み通してみると色々な発見があると思いますよ
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羅生門のポイント・テーマ

・ニキビ
・人は生きる為なら罪をおかしてもいいのか
「羅生門」はこんな人におすすめ
・初めて芥川龍之介を読む人 ・罪と罰について考えたい人
あらすじ
地震、飢饉、火事が続き衰退した京都では窃盗、人殺しが横行していた。
そんな京都の羅生門の下で主から暇を言い渡された1人の下人がどこに行くあてもなく途方にくれていた。
途方にくれながら下人は生きるために盗みを犯すか、それともこのまま餓死するのか、善悪の間で揺らいでいた。
夜を超すために下人は門の上を登った時、生きるために死人の髪を抜きカツラを作っている老婆を目にする。
老婆の姿を見て1度は憎悪の気持が湧いた下人だったが自分自身もこの老婆同様犯罪者にならなければ生きていけないと悪に対する勇気が芽生え老婆の着物を盗み夜の京都に身をくらます
ニキビ
羅生門の中でこのニキビという単語は非常に多く出てきます。
ニキビは下人の右の頬にあり、下人は物語中、このニキビをよく触っています
頬にニキビがあるということはまだ下人が若者であるという事が想像されますが、ここではただ単純に年齢だけでなく、精神的に未熟、もっと言えば善人でも悪人、どっちにもなりえる不確定な人物である、ということもこのニキビで表現されており羅生門の中で大きなテーマである人間の善悪というのもこのニキビは深く関わってきます。
まずは冒頭部分から終盤まで下人が善悪で揺れているさまをご紹介しましょう
羅生門の冒頭部分、主に暇を言い渡された下人は明日からどのように生きていくか途方にくれています。
犯罪が横行し街は餓死者であふれている京都で、餓死しないために自分は盗人として生きていくほかないと頭では理解していながらも、その考えを強く推し進める勇気がでないまま頭の中では結論が出ず同じ考えがグルグルとまわっています。
結論が出ないまま下人は夜を超すため門の上に登った時、死人の髪の毛を抜く老婆を見て、先程まで悪人として生きるしかないのかと揺らいでいたのにもかかわらず老婆にたいし激しい憎悪を抱きます。下人は老婆に「こんなとこで何をしている」と強く問い詰めると、老婆は生きていく為にしかたなく死人から髪の毛を抜いているのだと答えます。
ニキビをきにしながらこの言葉を聞いた下人は門の下では持つことが出来なかった悪人として生きる勇気が湧いてきます。
自分も老婆同様悪人としていきなければこの世界では生きていけない、ならば老婆同様に悪人としていきるしかないと考え老婆の着物をはぎ取り夜の京都の街へ消えます。
ニキビは若者の象徴であり、善悪どちらにもなりうる不確定な人間だと言いましたが、
下人は老婆を最初に見た時老婆がなんのためにそのような行動をしているのかは分かりませんでしたが、その行動に悪を感じます。
さらには老婆を見ながらあらゆる悪にたいして反感を感じるようになります。その時の下人の考え方というのは正義感が非常に強い善人そのものでした。
しかし老婆が生きるために死体の髪を抜いているという事を聞くとまさに自分も同じ立場だということに気づき悪人として生きる決断をし老婆の着物を盗んでしまいます。
このように、下人は物語を通して善と悪どちらの側面をもっておりそこの間で揺れている事が分かります。
そして悪人として生きるという決断をしたと同時にニキビから手をはなし盗みを犯すのです。
不意に右の手を面皰から離して、老婆の襟上をつかみながら、噛みつくようにこう云った。
「では、己が引剥をしようと恨むまいな。己もそうしなければ、饑死をする体なのだ。」
下人は、すばやく、老婆の着物を剥ぎとった。それから、足にしがみつこうとする老婆を、手荒く死骸の上へ蹴倒した。梯子の口までは、僅に五歩を数えるばかりである。下人は、剥ぎとった檜皮色の着物をわきにかかえて、またたく間に急な梯子を夜の底へかけ下りた。
不意に右の手を面皰からはなして、という単語が本当にこの羅生門のなかでも重要な一文だと思います。若者の象徴であり善悪どちらにもなりえる存在でその間で揺れ動いていた下人でしたが、最後ニキビから手をはなし悪人として生きる道をえらんだのです。
私は羅生門を読み返す度にこのニキビという単語がこの物語において様々な意味を持っていて、物語を深くしていると感じます。
是非、読む時はこの単語に注目して読んでみてください。
最後に
今回「羅生門」について私🍏なりに、あらすじ、感想、そして伝えたい事を解説をしてみました。
羅生門では登場人物は3人しか出てきません。
下人と老婆と死体の女です。そしてその3人が生きる為に罪を犯しています
罪は犯すべきではない、それは誰でも知っています。ニュース番組をみて毎日様々な事件が報道されており、(なんでこんなことをする人がいるのだろう)と私達は思います。
犯罪者に限らずどんな人でも下人のように善人の側面は備えているのかもしれせんが、金銭的・精神的余裕がなくなると、ちょっとしたことがキッカケで罪を犯してしまうのが人間という生き物なのかもしれません。
学生時代に羅生門を読んだ方が多いと思いますが、大人になり視野、考え方が広がった今、改めて読み返すと色々な読み方、発見が出来る作品だと思います。
ぜひもう一度再読することをお勧めします。

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