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「パンドラの匣」~爽やかな希望に溢れた一冊~:太宰治 [感想][あらすじ][解説]

読書

 はじめに

今回は太宰治の書いた「パンドラの匣」について私🍏なりに、あらすじ、感想、そして解説をしていきたいと思います。

この作品は青年が親友にあてた手紙形式で描かれており、手紙のなかで青年は自分が結核患者としての療養生活を親友に綴っています。

時代は第二次世界大戦、終戦後。そして舞台は結核患者を集めた病院ではありますが決して暗い作品ではなく、むしろ新しい時代に向かって生きていこうとする若い日本人達が描かれています。

私🍏はいつもこの本を読み返すたびに「非常に爽やかで気持ちいい本だな」という印象を受けますのでまだ読んだことが無い人は是非手にとって見てください

パンドラの匣のテーマ
芋粥
芋粥

終戦
新しい時代
恋.

「パンドラの匣」こんな人におすすめ

前向きになりたい人

あらすじ

結核を患ったひばりは学校に通うのを諦め、結核患者を集めた「健康道場」という病院に入る。ひばりはそこでの生活や一緒に療養生活を行っている患者・看護師について書いた手紙を親友に送る。

敗戦後、貧しい日本という国において何も生み出せない自分に悔しさを感じながらそれでも下を向くことなく新しい時代の中で行きていこうとする青年の成長を描いた物語

「パンドラの匣」というタイトル

太宰治はなぜこの本にこのタイトルをつけたのでしょうか。

「パンドラの匣」は開けてはならない箱を開けてしまったばかりに、人間にとってあらゆる不幸が世界中に広がり、箱には小さな希望だけ残ったという有名なギリシャ神話ですが、おそらく太宰治は戦争によりパンドラの匣を開けてしまった日本人に希望を見てほしかったのではないのでしょうか。そんな太宰治の軽やかで爽やかな優しさを感じながら是非この本を読んで欲しいなと思います。

「パンドラの匣」の時代背景

戦争というパンドラの匣を開けてしまった事で多くの日本人が命を失いました。

しかし最初に書いた通りこの作品は決して暗いものではありません。

🍏がこの作品で好きな場面で、ひばりの通う病院で患者が死に皆で見送るシーンがあります。

白い布に包まれた棺が秋の陽で美しく照らされ病院を出ていくのを皆が緊張した顔で、中には泣いている者もあり、首をたれながら棺を見送ります。そこでひばりは「死」を良いものだなと感じます。それは決して命を安く扱っているものではないし、センチメンタルで無気力な「死の賛美者」でもありません。病気と戦って死んだ人間が美しい棺で皆に見送られながら、自身の魂を、明確に、雄弁に、厳粛に主張していると感じたのです。

戦争の為悲憤と反省と憂鬱に包まれている日本。結核患者に限らず、死と隣り合わせだった日本。暗いニュースで溢れ眠れない夜も多くある中で、パンドラの匣の隅にある小さな希望を見出す日本人。この死に対する平静な気持ちは、当時の日本人が持っていた強さを感じます。

ひばりの成長1

ひばりは中学校を卒業してすぐに肺炎になり高等学校に通うのを諦め、家で体調が悪いのにも関わらず畑仕事を行います。結核となり喀血してもなお親にその事を黙ったまま畑仕事を投げやりに行っていました。「自分はもうどうなってもいい。死んでしまってもいい」そんな時に終戦のラジオを聞いたひばりは新しい世界に踏み入れたように感じ、変な気取りが無くなり親に喀血した事を打ち明け自分は新しい時代に生きる「新しい男」として行きていくことを決意します。

戦時中はずるい人間が多く存在し、他人を非国民とけなし、何かと気取った評論家が多かった。新しい時代ではそんな気取りをなくし、単純にさっぱり自由に行きていこうとひばりは生まれ変わり健康道場に入ります。

ひばりの成長2

ひばりは、健康道場に入りそこで看護師として働く、竹さん、マア坊に惹かれていきます。

親友との手紙でこの竹さんとマア坊の事が書かれていますが、ひばりの手紙では彼女らの行為を素直に表現できない青年独特の可愛らしさが表現されています。

特に竹さんついてはひばりがマア坊よりも行為を抱いていたのですが手紙では竹さんの事を酷く言っています。しかしそんな竹さんですが病院の場長さんと結婚することになります。

最初はその事実に衝撃を受けますが、マア坊からの慰めもあり竹さんの幸せを願うようになります。

そして物語の最後に同じ病院で療養している花宵先生の講話を聞きます。

その内容は

献身とは、ただやたらに絶望的な感傷で我が身を殺す事では決していない。大違いである。献身とは、我が身を、最も華やかに永遠に生かすことである。人間は、この純粋の献身によってのみ不滅である。しかし献身には、何の身支度も要らない。(中略)いかにして見事に献身すべきやなどと、工夫をこらすのは、最も無意味なことである。

この講話を聞いたひばりは、「新しい男」である看板をおろします。今までは、献身の身支度にこだわり過ぎ、お化粧が過ぎたと自分を恥じます。そしてこれからは向日性の蔓のように何も言わず、ただ陽がある方へ早くもなく遅くもなくまっすぐ進んでいこうと決意します。

最後に

今回は太宰治の「パンドラの匣」について私🍏なりに、あらすじ、感想、そして解説をしてみました。

登場人物達全員がさっぱりとしており、本当に読んでいて爽やかで気持ちの良い一冊です。戦争という辛くて悲しい過ちを犯した後に、国民に下ではなく、上を向いてほしいという優しい気持ちがあふれている一冊です。

太宰治のなかで明るく読みやすい本だと思うのでぜひ手に取って読んでみてください。

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